納入事例検査時間の短縮が可能な「APERTO Lucent Plus」への更新でより迅速・快適な検査をめざす池本脳神経クリニック

2011年に兵庫県芦屋市で開業した池本脳神経クリニックは、開業当初から使用されていた当社製0.4TオープンMRI装置「APERTO Lucent」を、2021年1月に最新装置「APERTO Lucent Plus」に更新いただきました。
新たに搭載された高速撮像技術“IP-RAPID”や自動化機能“AutoExam”を活用し、迅速かつ快適なMRI検査を提供されています。
さらに、MRIボア内映像投影システム「Smart Theatre」を導入。よりハードルの低いMRI検査の実現をめざされています。
APERTO Lucent Plusの使用感や今後の展望について、池本秀康院長先生に取材しました。

同クリニックは、当社製のMRIをはじめ一般撮影装置、超音波診断装置のほか、脳波装置、脈波装置などを備え、MRI検査の多くは頭部が対象で、ほかに頸椎や腰椎検査なども行われています。
現在は、新型コロナウイルス感染症対策のためほぼ予約制で、1日10件の予約枠に加え、近隣施設からの紹介や急患用の検査枠などを設けられています。

池本 秀康院長
池本 秀康院長
池本脳神経クリニック
池本脳神経クリニック
兵庫県芦屋市大原町20 - 19
オランジュール芦屋1 F
https://www.ikemoto-clinic.info
診療科目:脳神経外科,神経内科

高速撮像技術「IP-RAPID」で約20%の時間短縮を実現

2011年の開業時、MRI装置として当社製APERTO Lucentを選択、導入いただきました。その理由について池本院長は、「CTも検討しましたが、頭部の検査が主になるため、MRIを第一選択としました。また、オープンMRIを念頭に置いていたことから、その中でも、磁場強度の高いAPERTO Lucentを選択しました」と話されました。
更新時期を迎え、高磁場装置も検討されたが、改装工事の問題などもあり断念したとのことです。そのような時、フルモデルチェンジしたAPERTO Lucent Plusが2020年11月に発売されたことで、更新を決意されたそうです。

APERTO Lucent Plusには、当社製超電導1.5T MRI装置「ECHELON Smart Plus」に搭載された高速撮像技術「IP-RAPID」や自動化機能「AutoExam」が新たに導入されました。
IP-RAPIDは、アンダーサンプリングと繰り返し演算処理を活用した画像再構成演算を適用、画質の維持と撮像時間の大幅な短縮の両立を可能にします。同時に、従来の撮像時間のまま、画質を向上させることも可能です。

池本先生は、IP-RAPIDについて「最大のメリットは高速撮像による検査時間の大幅な短縮です」と話されます。同クリニックのMRI検査は3パターンのルーチン検査を設定しており、初診や再診、フォローアップなどの目的に応じて撮像シーケンスを決定されます。
再診患者さんの場合は、通常T2強調画像(短時間設定)、FLAIR、拡散強調画像(DWI)、MRA(短時間設定)を撮像しますが、装置更新後は大幅に撮像時間が短縮されたそうです。

「当クリニックでは、IP-RAPIDの機能を撮像シーケンスごとに使い分けて活用しています。FLAIRやT2強調画像は画質を優先させるため、撮像時間は変わりませんが、MRA撮像で大幅に時間が短縮されます。そのため、再診患者さんの検査では、撮像時間が平均15分42秒から13分16秒へと約20%短縮されました。従来は着替えなども含めて1検査あたり約30分かかっていたのが、5分程度短縮できることで、1日あたりの検査数を増やすことが可能になりました」

実際に、装置更新前の1日の検査数は10~11件でしたが、更新後は13~14件に増加。2020年1月25日~2月24日のMRI検査数が219件であったのに対し、更新後の2021年の同期間は288件になったそうです。
池本先生は、「検査数の増加は、経営面でも大きなメリットです」と話されます。一方で、スタッフの勤務時間はほぼ変わっていないと言われます。「APERTO Lucent Plusは、『働き方改革』という時代のニーズに合致しており、スタッフにも優しい装置だと思います」とご評価いただいています。さらに、検査時間の短縮は患者さんの負担軽減にもつながります。「検査枠に余裕ができたことで、ほとんどの初診患者さんで来院当日に検査結果の説明までできるようになりました。また、オープンMRI装置でも、検査時間が長くなれば患者さんの負担が増える懸念があります。当院の患者さんアンケートの結果では、検査時間が15分を超えると長いと感じる人が多かったことから、IP-RAPIDによる検査時間の短縮はその点でも有用です」

インタビュー中の池本院長
インタビュー中の池本院長

技師さんの負担を軽減する自動化機能「AutoExam」

APERTO Lucent Plusに新たに搭載されたAutoExamは、自動位置決め「AutoPose」や頭部MRAの自動クリッピング「AutoClip」などをワンクリックで行うことができ、技師さんの負担を大幅に軽減します。
同クリニックでは、MRI検査時は技師さんが常時1人でご対応されており、AutoExamによる負担軽減で、患者さんの状態の観察や画像の一次チェックに、より時間をかけることができるようになりました。

さらに、APERTO Lucentに搭載されていたモーションアーチファクト低減技術「RADAR」がAPERTO Lucent Plusにも継承されており、同クリニックでは、体動を止めるのが難しい患者さんに使用しているとのことです。
また、細部のインターフェイスをバージョンアップし、操作性が向上しています。

永久磁石方式のAPERTO Lucent Plusは、コストメリットが大きいことも特長の一つです。池本先生は、機械室やチラー(冷却用室外機)などが不要で、小スペースに設置可能なほか、クエンチの懸念もなく、メンテナンス費用が安いこともメリットに挙げられます。

患者さんに優しいMRI検査の提供をめざす

池本先生は今後の展望について、「より多くの人に検査機会を提供できるようにしたい」と話されます。同クリニックは、バス運行会社の脳ドックを行われており、閉所恐怖症などで超電導MRIでの検査が困難な方に対応されています。さらに今回の更新では、オープンMRIでは初となるボア内映像投影システムSmart Theatreをご導入いただきました。

検査室の隅に設置された「Smart Theatre」システム
検査室の隅に設置された「Smart Theatre」システム
患者さんにお知らせするポスター
患者さんにお知らせするポスター

Smart Theatreは、ボアの上面に空や海中などの映像を投影して閉塞感を軽減、患者さんにリラックスいただき、検査中のストレスの緩和が期待できます。
導入以降、全例で使用されており、今後患者さんの認知度向上を図っていく予定だそうです。

また、オープンMRIの特性を生かし、さらに工夫することで、MRI検査のハードルを下げることは可能だと考えておられます。
池本先生は、「2歳児の患者さんに保護者が添い寝することで、撮像できたケースがあります。また、当クリニックでは、通常の頭部コイルでは撮像が難しい患者さんに関節コイルを用いた撮像も行っています。例えば、円背の患者さんを横向きの姿勢で撮像することができます。また、通常の姿勢では頸部が痛く、撮像が困難な患者さんの場合、補助具などで痛みの生じない角度に姿勢を調整し、関節コイルで撮像することも可能です。さらに、関節コイルは頭部前面を覆うことなく、視界が保たれることから、Smart Theatreの映像もより見やすくなり、強度の閉所恐怖症の患者さんにも有用ではないかと思います」
と期待を示されました。

同クリニックは、APERTO Lucent PlusやSmart Theatreなどを活用し、優しさを“プラス”した検査の提供をめざしていかれます。

(2021年2月25日取材 磁遊空間Vol39より抜粋、改稿)

医療機器認証番号:222ABBZX00151000
販売名:日立MRイメージング装置 APERTO Lucent