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納入事例新型コロナウイルス感染症対策における回診業務のポイント。それは「継続性」と「機動性」独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター

概要

国立病院機構東京医療センターは、東京南西部目黒区に位置し、国立病院機構では最多となる約700床を有する大規模な医療施設です。人口28万人を有する目黒区に加え、近隣の世田谷区や渋谷区における高次救急医療施設として24時間体制で地域医療を支え続けられています。

2020年より世界中で蔓延した新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)に対しては、早期の段階から感染症患者の受入れを開始。ワクチン接種の国内第1例でもあったことから、最前線で感染症に取り組む施設として現在4台の回診車(Siriusシリーズ)を活用されています。

今回は、最前線の医療現場における感染症対策の経緯、回診業務における対策方法やSiriusシリーズの使いやすさについて同センター放射線科主任 平井隆昌様にお話を伺いました。

国立病院機構東京医療センターとは?

当院の歴史は長く、1942年の「海軍軍医学校第二附属病院」設立から始まりました。1945年には「国立東京第二病院」に改称。1998年に「東京医療センター」に生まれ変わり、現在に至ります。

当センターは地域がん診療連携拠点病院として放射線治療(外部放射線治療と小線源治療)を行っており、この20年間で約15,000人のがん患者の治療実績があります。小線源治療としては、高線量率密封小線源治療装置(RALS:Remote After Loading System)や前立腺癌小線源療法(シード治療)を実施。特にシード治療では、日本で初めて治療を実施した施設として国内有数の経験と実績を誇っています。

私が所属する放射線科には、48名(診療放射線技師42名、受付6名)が在籍し、日勤帯では一般撮影・透視撮影を10名でおこなっています。当科は一般撮影、透視撮影、心臓・血管撮影、CT(80列)、MRI(1.5T)、核医学、PET、放射線治療を有しており、その中で回診装置を5台使用しています。

3台のairyと一般撮影スタッフのみなさん
3台のairyと一般撮影スタッフのみなさん

新型コロナウイルス感染症対応を模索していく日々。

感染症が世界に拡大しつつある2020年1月当初、当センターも、まだ対応を迫られていませんでしたが、同月下旬より感染症を疑われる受診者が増えていきました。当センターは、いわゆる感染症指定医療機関ではありませんでしたが、感染症の拡大を受けて「感染症予防法第19条第1項法規*1」に則る東京都の要請により感染症患者を対応することになり、そこから感染症対策の基盤が出来上がっていない中で対応を模索していく日々が続きました。

2月中旬以降、患者の状態にかかわらず感染症が疑われる入院患者の一般撮影の場所を病室に限定。ここから、回診車の活躍がはじまりました。

4月上旬からは外来棟の診察室の一部を閉鎖して臨時の発熱外来を設置し、そこに回診車を配置し、臨時の一般撮影室を設けました。以降は、通常の撮影業務と併せて発熱外来やコロナ病棟で回診車をフル活用しました。

さらに2021年5月には、臨時の発熱外来を閉鎖し、敷地内にコンテナを設置して診察を開始しました。ここでも回診車をコンテナ内の診察室に設置して一般撮影が可能な運用を確立させています。

図1 新型コロナ感染症対策の経緯
図1 新型コロナ感染症対策の経緯
コンテナ(発熱外来)
コンテナ(発熱外来)
回診車をコンテナに搭載する様子
回診車をコンテナに搭載する様子

撮影業務における5つの感染症対策。

診療放射線技師は、医療施設の中でも感染症患者と接する機会が多い職業です。医療従事者の感染を防止しながら放射線科の機能を低下させず、未曾有の感染症に対し非常時の運用を長期的に継続していくことが求められました。各部門と議論を行い、部門の垣根を超えた業務方針やルールを定めたことで、今日まで従事者が罹患せずに業務を遂行できています。

撮影業務の対策としては、外来患者、入院患者、そして感染症患者に対して1. 時間割、2. 場所(ゾーニング含む)、3. 移動経路、4. 対応人数、5. 消毒方法を状況に応じて変更していました。

「1. 時間割」では、外来患者と入院患者の接触を最小限にするために撮影の時間を午前と午後で分離させました。「2. 場所」と「4. 対応人数」では、感染症病棟での撮影には診療放射線技師2名1組の体制を組みました。従事者はアルコール消毒と標準+飛沫+空気感染予防策*2を順守し、感染症対策以外の撮影においてもフェイスシールドやゴーグルを装着しています。病室を非清潔区域としてゾーニングを行った病棟では、ひとりが回診車とFPDを非清潔区域で、もうひとりがRISを搭載した画像処理ユニット(モバイルコンソールPC)を清潔区域で操作する運用を実施しました。清潔区域に戻る前の緩衝区域ではFPDカバー(ビニール袋)を廃棄することはもちろんのこと、滅菌消毒液で回診車全体を清拭し、感染症を伝播させないよう徹底しました。

従事者の防護具装着時
従事者の防護具装着時
図2 撮影業務における感染症対策
図2 撮影業務における感染症対策
図3 ゾーニング(病棟の例)
図3 ゾーニング(病棟の例)

新型コロナウイルス感染症対策におけるSiriusシリーズの真価とは?

病室、救急外来室と手術室における一般撮影がメインの回診車の業務に、現在では発熱外来が追加されています。たった1つの場所が追加されただけにもかかわらず、当センターでは回診車が高く評価され、その必要性が再認識させられました。特に評価が高かった理由は2つあります。

1つは、ゾーニングが必須であり画像診断を含めた検査種を限定せざるを得なかった状況下においても、病室や診察室で継続的な画像診断を可能にした点です。PCR検査は確定診断に有効ですが、感染症の治療効果の判定や、感染症患者の他の基礎疾患の診断には回診車による撮影が必要不可欠な存在になっています。

2つ目は、場所を選ばずに一般撮影が可能な点です。臨時の発熱外来や、外来を改修した診察室、施設外で敷地内のコンテナの中など、回診車の機動性のおかげであらゆる場所で活動できました。画像処理ユニット(ノートPC)を併用することでスピーディな画像診断に繋げられたことも評価に値します。

感染症対策での撮影業務のポイント、それは「継続性」と「機動性」です。刻々と変わる病院の感染症対策に応じ、医療サービスを継続的に提供し続けるため、日々使う医療機器はどんな場所でも機能する必要がありました。こうした要求にしっかり応えてくれた回診車は、以前に比べ撮影件数が大幅に増えました。感染症対策では従来の胸腹部撮影に加え、四肢撮影、さらにはECMO装着時の手技のサポートが始まったのですが、どんな場面でも臨機応変に対応できた回診車は、Sirius Starmobile tiara airy※(以下、airyという)でした。

airyは、従来の回診車よりも本体が大幅にスリムですが、高出力を有しています。そして充分なバッテリー容量や作業効率を追求した各所の設計のおかげで、感染症対策としての一般撮影業務を継続することができました。

設置スペースが限られた中で撮影を行う発熱外来を例に挙げると、カートの配置によっては撮影できる方向やアングルに制限が生じていましたが、airyではこれが起こりません。なぜなら自由自在に位置決めができる「パンタグラフアーム」があるからです。フレキシブルなアームの取り回しが当センターの検査の効率を向上させました。加えて、高い管電圧が要求される胸部撮影や乳幼児対応では短時間撮影が必要です。これに対してairyでは管電圧を120~130kVに設定して撮影できます。当センターでは「設備が整った一般撮影室での撮影画像と比べて遜色ない画像」と高く評価されています。

発熱外来以外の悩みとしては、700床以上の病棟を有する当センターのような施設では「回診車を特定の場所に限定して使用できない点」だと思います。午前中に感染症病棟で撮影し、午後には通常病棟や手術室などでも撮影をする。一日フルで運用するケースが多い中、バッテリーの持ちが良いairyが終日の撮影業務を止めることなく支えてくれます。

先述のECMOの手技サポートでは、陰圧室内の患者周辺には足の踏み場もないほどさまざまな機材やチューブが取り囲んでおり、より一層慎重な対応が求められます。狭いスペースで機材や器具に干渉することなくカートを近づける際には、前輪付近の見切りの良さが重要です。場合によっては診療放射線技師の立てる場所も限られます。このようなときには前輪が見えるairyのボディ形状、ベッドサイドモード(走行スピード)、そしてカート前面に配置できるハンドスイッチ*3が有用でした。特にカート前面から走行レバー側に回り込むことが困難な際には、前面ハンドスイッチで撮影することで非清潔区域内における回診車を含むさまざまな機材との接触を最小限に抑えられたのです。

さまざまな場面や要求に素早く対応できる回診装置は、私たちの撮影業務を継続させ、当センター内での信頼を築いています。当センターのように特定感染症指定医療機関ではない施設が、一から感染症対応を模索し、医療サービスを継続的に提供する必要がある中、出力、機動性が高く、そして操作性良好なairyは、重要な役割を担っています。これからも強力な画像診断機器であると同時に放射線科における頼もしいパートナーでいてくれることを期待しています。

高い機動性でフル活用されるairy
高い機動性でフル活用されるairy
コンテナ(発熱外来)内の様子
コンテナ(発熱外来)内の様子
写真は、SiriusStarmobileです。
図 4 ECMO手技における器材と回診車の配置イメージ
図 4 ECMO手技における器材と回診車の配置イメージ

Siriusシリーズの将来に期待。

高い性能で要求に応えてくれるairyの成長を望んで、更なる「省スペース化」、「軽量化」を期待しています。ベッドサイドに限らず、回診車の用途は多様化しており、感染症対応においても陰圧室でさまざまな器材が並ぶ中で撮影する等、登場機会が増えました。現在の高出力を維持したまま、さらにスリム化できれば、さらに活躍の場が増えると思います。

(本インタビューは2021年7月1日に実施したものを文章化したものです。)

右から放射線科深水技師長、平井主任
右から放射線科深水技師長、平井主任
*1
感染症予防法第19条第1項法規は以下の通り。
「緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる」
「平成十年法律第百十四号 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
*2
標準+飛沫+空気感染予防策
標準予防策・・・
感染源の有無にかかわらず、血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜を介する、微生物の伝播リスクを減らすために、すべての患者に対して(略)具体策を行うことが標準的な感染予防策である。その主な内容は手洗い(手指衛生)、手袋やマスクなど個人防護具の使用、鋭利器材の取り扱いである。
飛沫予防策・・・
乳幼児のアデノウイルス感染症、インフルエンザ、咽頭ジフテリア、インフエンザ菌性髄膜炎、髄膜菌炎性髄膜炎、アデノウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎、乳幼児のA群溶連菌感染症、百日咳が診断されるかまたは疑われる場合に実施する。
医療従事者のサージカルマスク着用、患者の個室管理などが必要な病原体による感染症に対して行われる。
空気感染予防策・・・
結核、麻疹、水痘が診断されたか、または疑いのある患者(略)に実施する。
肺結核、喉頭結核、漏出する結核皮膚病変を有している患者の部屋に入室する時には、タイプ N95 微粒子用マスク(N95 マスク)を装着する。 患者は陰圧室にて個室管理。患者が病室外に出る際には、サージカルマスクを装着させる。
引用
厚生労働省HP 「標準的な感染予防策」PDFより一部抜粋 (PDF形式、548kバイト)
*3
増設ハンドスイッチ(前面取付型)はオプションです。

販売名:移動型X線装置 Sirius Starmobile tiara airy
医療機器認証番号:228ABBZX00136000

Sirius Starmobile tiara airyは富士フイルムヘルスケア株式会社の登録商標です。